英国のインダストリアル・ミュージック・アーティストであるPIGが、最近発売されたアルバム『Pain Is God』の豪華でポップな、ダブル・ディスクのヴァイナル盤をリリースした。PIGはレイモンド・ワッツのステージネームで、彼はナイン・インチ・ネイルズとツアーを回ったり、アレクサンダー・マックイーンのためにファッションショーの音楽を担当、カール・ハイドやキース・ラブランクらとコラボレートしたり、バクチクのメンバーとプロジェクトバンド、シャフト・アンド・シュウェインを結成するなど、活動は多岐に渡っている。
パーカッション・木琴の奏者として知られるマイク・ディロンがコロナ戒厳令中もアクティブに活動、3枚のアルバムをリリースすることがわかった。タイトルはそれぞれ『1918』『Shoot the Moon』そして、自伝的な『Suitcase Man』。マイクはクリッターズ・バッギンと来日したり、音楽ディレクター、リッキー・リー・ジョーンズのツアーバンドに参加、アニ・ディフランコ、ギャラクティック、カール・デンソンやル・クレイプールなどとも共演している。
Alice Cooperが最新作『Detroit Stories』を2月26日にリリースする。アリス・クーパー・バンドは、アリゾナ州にあるコルテス高校のクロスカントリーチームの部員の仲間で結成され、最初にロサンゼルスの、フランク・ザッパのストレート・レーベルと契約を結んだ。しかし、彼らのロックとホラー映画の融合というスタイルが最初に受け入れられたのはデトロイト・エリアでだった。アリス・クーパー、出生名ヴィンセント・ファーニアの生まれ故郷は、彼のインスピレーションともなったストゥージスやファンカデリックの出身地でもある。また、この町ではバンドの指標となるアルバムとなった『Love It To Death』のプリ・プロダクションを19歳の駆け出しプロデューサーだったボブ・エズリンと行っている。バンドの最新作は、デトロイト・ハード・ロックへのトリビュートとも言えるサウンドで、ゲストにはデトロイトの伝説的プレイヤー、MC5のウェイン・クレイマーや、ミッチ・ライダーやデトロイト・ホイールズで怪物と呼ばれたドラマー、ジョニー・”ビー”・バダンジェックを迎えている。また、新曲「Social Debris」にはオリジナルのアリス・クーパーのメンバーが勢揃いした。
サザン・カルチャー・オン・ザ・スキッズが、3月12日にほぼアコースティックなアルバム『At Home with Southern Culture on the Skids』をリリースする。このバンドはファンキーなロカビリー、サーフ、R&B、スワンプロックを融合したスタイルと、テレキャスター一筋のギター名人リック・ミラーの技が相まって、世界中にファンがいる。
ニューヨーク・ドールズのギタリスト兼ソングライターとして知られるリズム・ギタリスト、シルヴァイン・シルヴァインが癌との戦いを終え、他界した。シルヴァインはエジプトのユダヤ系一族の出身。政治的な問題から、彼が10歳の時にパリへ、その後ニューヨークへと移住した。高校卒業後、アパレル業界でふらふらしていたところ、マルカム・マクラーレンと出会う(その後ドールズのマネージメントを短期間だけ担当、その後シルヴァインに彼がマネージメントすることになるセックス・ピストルズに参加しないかと誘った)。ドールズは1973年のデビューアルバムをするなりセンセーションを巻き起こし、クリーム・マガジンの読者による投票で、ベストバンドと最悪バンド両方の1位を獲得した逸話がある。初期のドールズは、内部の不和やジョニー・サンダースとジェリー・ノーランのドラッグ問題などにより、1974年に出した『Too Much Too Soon』を含む2枚のアルバムしか出せなかった。それでも、ニューヨーク・ドールズはグラム・ロック・ムーブメントの代表バンドの1つとして君臨、パンクロックに大きな影響を与えた。ドールズの解散後、シルヴァインはドールズのシンガー、デイヴィッド・ヨハンセンとヨハンセンのソロバンドで活動、1975年にはジェフ・ベックと、日本の後楽園でのライブに新生ニューヨーク・ドールズとして来日公演を行っている(メンバーは刷新後)。
ニューオリンズのファンクの巨匠、ダムスタファンクが新たなスタジオアルバム『Where Do We Go From Here』を4月23日にリリースするらしい。トロンボーン・ショーティとチャーリー・ツナがゲスト参加。彼らのトラック「Justice 2020」は、ニューヨーク・タイムス紙が選ぶ2020年のベスト・ソングの1曲として選ばれている。
1960年代のイギリスバンド、ジェリー&ザ・ペースメーカーズのジェリー・マースデンが1月3日、他界した。彼のバンドは1963年のデビュー曲「How Do You Do It?」からチャートNo.1ヒットに輝くなど高い人気を誇った。この曲は、ビートルズのプロデュースもしていたジョージ・マーティンが手がけている。彼らもビートルズと同じリバプール出身で、同じようにブライアン・エプスタインのマネージメントを受けていた。デビュー作に続くシングル2枚も「I Like It」「You’ll Never Walk Alone」UKチャートで1位を獲得。アメリカではそこまで振るわなかったものの「Don’t Let The Sun Catch You Crying」でブレークスルー。また、映画『Ferry Cross the Mersey』にもバンドで出演、タイトルトラックも担当し、こちらもヒットとなる。しかし、その絶大なる人気にもかかわらず、1965年後半にはビートルズの影に徐々に押しやられていく。バンドのヒット曲「You’ll Never Walk Alone」はミュージカル『Carousel(邦題:回転木馬)』は、その後長い間人気を博し、リバプール・フットボール・クラブのテーマ曲でもあった。安らかに。
サンフランシスコをベースに活躍するシューゲーズ・ドリームポップバンドのビリンダ・ブッチャーズがEP『BBZ Live At Home』をリリースした。これには、彼らの珠玉のアルバム『Night and Blur』のタイトル・トラックのライブ・バージョン(このアルバムは彼らが日本に来たときの体験を元に作られたという)や、スマッシング・パンプキンズの名曲「1979」のカバーなどが含まれている。
日本生まれ、イギリス在住のシンガー兼ソングライター兼モデルのリナ・サワヤマが、イギリスのレーベル、ダーティ・ヒットからアルバム『サワヤマ』をリリースし、話題になっている。ダーティ・ヒットには1975、ウルフ・アリスやビーバドゥービーらが所属している。彼女のサウンドは大まかにいうとダンス・ポップの領域だが、予想だにしない仕掛けが満載だ。サワヤマは、このアルバムについて「家族とアイデンティティについて」のものだと話をしている。リード・シングルはニューメタル系の「STFU!」(Shut The Fuck Upの短縮系)で、このMVは200万回以上視聴されている。これに続くのはダンス・ポップ風味の「コム・デ・ギャルソン」で、こちらも270万回以上の視聴を記録した。
ニューヨークをベースに活動するギタリスト、ネルス・クラインが最新作『Share the Wealth』をブルーノートからリリースした。このダイナミックなダブル・アルバムはカエターノ・ヴェローゾの「Segunda」のカバーなどを含む。「Beam Spiral」という曲はクラインの妻、チボ・マットの本田ゆかが制作。また、このアルバムにはサックス奏者のシェリク、キーボードのブライアン・マーセラ、ベーシストのトレヴァー・ダン(Mr. Bungleのメンバー)、ブラジル人パーカッショニストのシーロー・バプティスタや、よく共演しているドラマーのスコット・アメンドーラが参加している。ネルス・クラインはウィルコのメンバーとして知られるようになり、その後多くのアーティスト等とコラボレーションを重ねた。オーネート・コールマン、リッキー・リー・ジョーンズ、北島修、メデスキ・マーティン・アンド・ウッド、テデスキ・トラックス・バンド、ジョン・ゾーンやサーストン・ムーアなどがその一部。
アメリカの独裁者志望、ドナルド・トランプが大統領選でオバマの元副大統領、ジョー・バイデンに敗北した。売電とカマラ・ハリス次期副大統領の勝利宣言イベントでは数々の浮き立つような音楽が使用された。ジャッキー・ウィルソンの「Higher and Higher」、ブルース・スプリングスティーンの「We Take Care of Our Own」フーファイターズの「Time Like These」ホール&オーツの「You Make My Dreams Come True」、ティナ・ターナーズの「The Best」、トム・ペティの「I Won’t Back Down」コールドプレイの「Star Full of Skies」(2015年に癌で死亡したバイデンの息子、ボーのお気に入り)メアリー・J・ブライジの「Work That」(カマラ・ハリスのテーマソングのように使用されている)など。
ラジ・ラマーヤが新アルバム『Spicy Beats」を12月4日にリリースする。インド系カナダ人で、長期間東京在住、現在はカリフォルニアにベースを置くシンガーである彼は、メジャーなアニメの「カウボーイ・ビバップ」「攻殻機動隊」や「Wolf’s Rain」の音楽や、ビデオゲームでの仕事、またアサヒビールやトヨタの広告でよく知られている。さらに、彼はインド映画、韓国アニメのサントラを手掛け、有名アニソンのハードロックバージョン(彼のバージョンの「Lithium Flower」(攻殻機動隊)は必聴)も面白い作品だ。この新アルバムエレクトリック・ビート、アコースティックな各楽器のサウンドに、インド音楽の影響も相まって、ゴリラズ、タマ・インパラやビーツ・アンティークとも比べられる。また、彼は最近「The Real Folk Blues」というオールスター・アニメヒットプロジェクトに参加し、5万2千ドルを国境のない医師団等のチャリティに寄付した。
有名俳優ウェンデル・ピアース(『The Wire』『Treme』などに出演)が、BBキングの伝記映画『The Thrill Is On』(BBキングのテーマソングとも言われる曲のタイトルを取っている)でBBキング役を射止めた。キングのバンドメンバー四人はそれぞれ自分の役でカメオ出演する予定。この映画はキングと若い白人ドラマーのマイケル・ザネティス(この映画のプロデューサー)との関係を中心に展開する予定。ザネティスはこの映画を元々「キングと私」と呼んでいたが、同じくキングの伝記映画を制作予定で、来年プリ・プロダクションに入るキングの管財人からの要望によりタイトル変更したという。