ニューオリンズのファンクバンド、ギャラクティックのドラム・マスター、スタントン・ムーアがサイドプロジェクトで忙しくしている。現在、レス・クレイプール・バスタード・ジャズというプロジェクトでの出演が短期だが続けて決まっている。このプロジェクトはプライマスのレス・クレイプールのほか、パーカッションにマイク・ディロン、サックスにスケーリックが参加。こちらが終わると、ガレージ・ア・トロワ、また彼のトリオ(1999年に結成して、たびたび集まって活動している。スケーリックとギタリストのチャーリー・ハンターが参加)での活動も予定されている。彼らの最近のアルバム『Calm Down Cologne』は必聴。
ジャズ/ファンクのオルガン奏者ウィル・ブレイズ、ギタリストのチャーリー・ハンター、そしてドラマーのジョージ・スラッピックがライブアルバム『Live-Just Play the Blues』を5月13日にリリースすると発表。このアルバムは昨年彼らがノースカロライナ州グリーンズボロで行ったライブの録音になる。アルバム収録曲の「All About My Girl」は現在ストリーミングで視聴可能。今夏、ブレイズはAmendola Vs. Bladesとしてドラマーのスコット・アメンドーラ、パーカッショニストのサイロ・バプティスタ、サックス奏者のスケーリックとアルバム『Everybody Wins』のツアーを行う。他にも、エリック・クラスノーのサイドマンとして『Always』アルバムのツアーにも参加予定。
レス・クレイプールが非常に忙しい日々を送っている。彼は現在プライマスと共にツアーに出ているのだが、これは6月まで続くという。このツアーでは、ラッシュの技術的に非常に高度な1977年のアルバム『Farewell to Kings』の全アルバムを演奏。プライマスも、先だって、5年ぶりになる新譜、3曲入りEP『Conspiranoid』を4月22日にリリースすると発表したばかり。1曲目にくるのは12分に渡る芸術的な作品「Conspiranoia」で、アメリカ政治を席巻する陰謀論を揶揄している。さらに、レス・クレイプールは7月25日、26日の両日オークランドのジャズクラブ、ヨシズでバスタード・ジャズを演奏予定。これらのライブに参加するバンドメンバーには、ギャラクティックのドラマー、スタントン・ムーア、以前もクレイプールに同行したことのあるヴァイブスプレイヤーのマイク・ディロンやサックス奏者のスケリック。そして、アメリカの素晴らしいテレビアニメ作品である「South Park」が25周年を祝ってコロラドのレッド・ロックス野外劇場でイベントを開催するのだが、こちらには創作者のお気に入りであるプライマスとウィーンが参加する。
リッキー・リー・ジョーンズが現在ツアーで大きな成功を納めている。いまだ1979年のデビュー曲「Chuck E’s in Love」が一番売れている曲ではありつつ、ツアーアーティストとして高い人気を誇り、アルバムも着実に販売実績を重ねつつ、多くのテレビ番組や映画に曲を提供している。彼女のキャリアは、ベストセラーとなった自叙伝『Last Chance Texaco: Chronicles of an American Troubadour』を発売したことにより新たな高みにたどり着いている。彼女のツアーバンドのリーダーは、元クリッターズ・バッギンのメンバーで、90年代後半に日本で人気を博したドラマー兼パーカッショニストのマイク・ディロン。
彼女の他にも、ベストセラー本を出版することによりツアーを成功させているアーティストに、映画化が確定している『Crying in H Mart』を上梓したジャパニーズ・ブレックファースト(韓国系アメリカ人のミシェル・ザウナーのステージネーム)がいる。また、バンドメンバーの二人が自伝を上梓しているゴーゴーズのキャシー・ヴァレンタインとジーナ・ショックがいる。
ソウライヴのギタリスト、エリック・クラスノーが素晴らしいソロアルバム『Always』をリリースした。このアルバムのジャンルはどちらかというとシンガー・ソングライターのカテゴリーだが、多くのジャズ・ファンク・ロックの要素を含んでいる。また、マルチ・インストゥルメンタリストでプロデューサーのジョー・バガレ、メデスキ・マーティン・アンド・ウッドのビリー・マーティンとのコラボレーションやドラマー、スコット・アメンドーラとのコラボ「Amendola vs. Blades」で知られるオルガン奏者のウィル・ブレーズがこのアルバムに参加している。このアルバムにはボブ・ディランの「The Man In Me」のカバーやアップビートでファンキーな「Lost Myself」などのハイライトがある。また、アルバム・ツアーも開催されていて、セットリストにはジミ・ヘンドリックスの「Power of Love」の素晴らしいカバーバージョンが含まれる。
レス・クレイプールは相変わらず活動的で、ワイルドな音楽を作り続けている。4月28日にはニューオリンズでジャズ・バスタードというライブを開催、このライブにはバンドメンバーとしてギャラクティックのドラマー、スタントン・ムーア、パーカッショニストのマイク・ディロン、サックスの悪魔スケーリックが参加の予定だ。ニューオリンズの後はプライマスの長期USツアーが予定されていて、ラッシュのアルバム『A Farewell to Kings』を全部演奏の予定。ディロンとスケーリックは以前もクレイプールのソロアルバムやツアーに2回参加している。
サックスの巨人、スケリックはこのところ、スコット・アメンドーラvsウィル・ブレーズ『Everybody Wins』(ロイヤル・ポテト・レコード)にタートスのギタリスト、ジェフ・パーカーと、ブラジル人パーカッショニストのサイロ・バプティスタと一緒に参加、また、ネルス・クライン・シンガーズの『Share the Wealth』(ブルーノートレコード)にはトレヴァー・ダン、サイロ・バプティスタ、スコット・アメンドーラと、さらにガラージ・ア・トロワ『Calm Down Cologne』(ロイヤル・ポテト)、にはチャーリー・ハンターとスタントン・ムーアらと、素晴らしいアルバムに参加しているが、コロナ状況によりアルバム・ツアーができないでいる。ただ、ガレージ・ア・トロワ、アメンドーラvsブレーズは来年のギグをすでに発表しているので、そこで彼らの素晴らしい新作を堪能できることを祈りたい。
ロックの殿堂入りを果たしたトッド・ラングレンだが、セレモニーには参加しなかった。ラングレンいわく、ロックはスポーツみたいな競技ではなく、協会の投票システムに納得がいかない、ロックの殿堂セレモニーで会うような金持ちや著名人と肩を並べるよりもファンと会っている方が自分には合っているとのこと。隠して、彼の「The Individualist, a True Star」は続く。
事前の宣伝で期待の高まっていたニューヨークのセントラル・パークで開催されたイベント『We Love NYC: The Homecoming Concert』、TVでの視聴率も期待されていたが、蓋を開けて見れば大失敗だった。このイベントは、新型コロナからの復活を記念して企画された祝祭的な位置付けだったが、イベント時期がちょうど新型コロナの感染率再上昇と重なってしまった。また、クオモ・ニューヨーク州知事か数々のセクハラ疑惑で辞職となった時期とも重なっている。このコンサート自体は、プロデュースを担当した音楽界の重鎮、クライブ・デイヴィス(89歳)のトリビュートとしての側面も強い。出演予定だった殆どはデイヴィスと過去仕事をしていたアーティストばかり。出演したアーティストの中でのハイライトといえるのは、ジェニファー・ハドソンだった。彼女は現在、アレサ・フランクリンの伝記的映画『Respect』でNYフィル・ハーモニックと共演し、大絶賛されている。現在深夜のTV番組で音楽ディレクターを務めるニューオリンズ・ミュージシャンの一人、ジョン・バティストは気持ちがウキウキするような曲を歌い、高く評価された。サンタナとロブ・トーマスはここで新曲を披露し、楽しみにしていた観客を沸かせていた。しかし、ジャーニーとフィリピンのシンガー、アーネル・ピネダがスティーヴ・ペリーの代理を務めようとしていたのはいただけなかった。また、オールド・スクールのラッパーLL・クール・Jが昔のメンバーとの再結成を試みたが、こちらも懐かしくはあるものの、ピンとこず。フェス自体がバリー・マニローのステージの途中で、歴史的な大雨のため中止となり、本来メインとなるはずだったブルース・スプリングスティーン、エルヴィス・コステロやポール・サイモンは出番がないままに終了となった。残念!
インスト・ギター・ロックバンド、アンフリーズ・マックギーが最新アルバム『You Walked Up Shaking In Your Boots But You Stood Tall And Left A Raging Bull』をリリースした。また、激辛ソースメーカーのナッシュビル・ヒートとコラボし、「Rage. Rest. Repeat.」の三つのスパイスソースにアンフリーズのロゴをつけたボックスセットとして発売。バンドは8月5日から長期ツアーを開始、12月にはメキシコでのコンサートを、また2022年3月にはアイスランドで3回のショーを予定している。このバンドは2006年のフジロックで演奏していて、日本のバッファロー・レコードから何枚ものアルバムをリリースしている。エイドリアン・ベロウとジェフ・ベックのファンは要チェックだ。
ビリー・アイリッシュのセカンドアルバム『Happier Than Ever』が7月30日に発売になる。彼女の最新シングル「NDA」(秘密保持契約)は、現在ビリー本人が監督したビデオで見ることができる。グラミー賞7部門受賞の彼女は、9月に、北米・ヨーロッパでのツアーを開始。マジソン・スクエア・ガーデンでの2夜を含め、ほとんどのチケットが完売しているという。