2015年度ロックの殿堂入りを決める投票で、ポール・バターフィールド・ブルース・バンドが現在4位にランクインしている。シカゴ出身のハーモニカ奏者のポール・バターフィールドが1963年に結成した同バンドには、ギタリストのマイケル・ブルームフィールドとエルヴィン・ビショップ、キーボード奏者のマーク・ナフタリン、ハウリン・ウルフのリズムセクションを担っていたサム・レイとジェローム・アーノルドが加入し、後に追加されたホーンセクションにはデヴィッド・サンボーンなどが名を連ねた。ヒット作には恵まれなかったものの高い評価を受けたバンドは、当時は珍しかった白人と黒人メンバーの混合編成でブルース・ミュージックを復活させ、ボブ・ディランのバックバンドとしても重要な役割を果たした。ブルームフィールドは1981年、バターフィールドは1987年にいずれも麻薬摂取が原因で他界。エルヴィン・ビショップは、最近では映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のサントラにフィーチャーされたことでヒット曲「フールド・アラウンド・アンド・フェル・イン・ラヴ」の人気が再燃するなど、順調に音楽活動を続けている。

キンクスのリード・ヴォーカル、レイ・デイヴィスが2015年にキンクス再結成ツアーをレイの弟デイヴの参加の有無に関わらず行なうことを発表した。ところが、翌日になってレイはメンバー間の確執のためにツアーは行なわないと発言を撤回した。ビジネス面での失敗やレイとデイヴ兄弟の不和に悩まされてきたキンクスだが、ビートルズ、ローリング・ストーンズ、ザ・フーと並ぶ“ビッグ4”として音楽シーンに影響を与えたバンドとして知られる。1963年に結成したバンドは、シングル「ユー・リアリー・ガット・ミー」と「オール・オブ・ザ・ナイト」を立て続けに大ヒットさせ、その後も「ローラ」、「ウォータールー・サンセット」など多数の大ヒット曲を世に送り出した。度重なる紆余曲折を経験しながらも1996年までレコーディングとツアーを継続させた彼らの楽曲は、多数のアーティストにカバーされている。

リリックス・ボーンの新作アルバム『リアル・ピープル』からの先行シングル「$ir Racha」がリリースされた。同曲のプロデュースはギャラクティックのベン・イールマンとロバート・マーキュリオが手がけた。日本人とイタリア人の血をひくリリックス・ボーン(本名トム・シムラ)は東京で生まれ、幼少期を東京とアメリカで過ごした。カリフォルニア大学在学中にアジア・ボーンというステージ・ネームでラッパー活動を始め、これまでにDJシャドウ、ブラッカリシャス、カット・ケミスト、ジュラシック5、モーシャン・ワーカー、ロータス、ギャラクティックなど多数のアーティストとコラボレーションを行なってきた。

女優/歌手のズーイー・デシャネルとギタリスト/プロデューサーのM・ワードから成るデュオ、シー&ヒムの新作アルバム『クラシックス』が12月2日にリリースされる。これまで人気インディーズ・レーベルのマージ・レコードから作品をリリースしてきたデュオだが、今作でコロンビアから初のメジャー・デビューを果たす。今作も全曲がカバー曲の構成で、エルヴィス・コステロ、ダスティ・スピリングフィールド、フランク・シナトラ、チェット・ベイカー、ハーブ・アルバート、ヴァン・モリソンの人気曲が収録されている。

オールマン・ブラザーズ・バンドが10月28日に解散ライブを行なった。バンドは1969年の結成後まもなく、1971年にオリジナル・ギタリストのデュアン・オールマン、1972年にベーシストのベリー・オークリーがいずれもバイク事故で他界という悲劇を乗り越えて活動を継続してきた。数々のヒット曲に恵まれた一方で、度重なるレーベル移籍とメンバー交代、麻薬・アルコール問題、逮捕・離婚騒動、内輪もめなどに直面してきたが、アメリカを代表するライブ・バンドの一つとして支持され続けてきた。

2012年に“末期の膵臓がん”と診断された元ドクター・フィールグッドのギタリスト、ウィルコ・ジョンソン(67)が奇跡的に全快したことが明らかになった。今年4月、11時間にわたる手術で3キロ分の腫瘍を摘出したジョンソンはその後順調に回復し、現在では健康上の問題は全くないという。自分がもうすぐ死ぬと信じて2年間を過ごしたジョンソンは、精神的なリハビリに時間がかかりそうだとコメントしている。

少年ナイフが32日間の北米ツアーを終えた。11月初めに大阪と東京でライブを行った後、15日と16日にはインドのゴアで開催される〈ザ・ニュー・ウェーブ・ミュージックフェスト 2014〉に出演する。

グレイトフル・デッドの結成50周年ドキュメンタリー映画の共同エグゼクティブ・プロデューサーをマーティン・スコセッシ監督がつとめることが明らかになった。スコセッシ監督は『タクシードライバー』、『レイジング・ブル』やドキュメンタリー映画『ラスト・ワルツ』など多数の名作を手がけてきた一流の映画監督として知られる。音楽監督にグレイトフル・デッドのオーディオビジュアル保管人のデヴィッド・レミューを迎えた今作には、グレイトフル・デッドのライブや舞台裏の秘蔵映像をはじめ、生存メンバーのインタビュー(オリジナル・メンバーのジェリー・ガルシアは1995年、ロン・”ピッグペン”・マッカーナンは1973年に死去)が収録されている。活動期間を通してトップ40入りした曲はたった1曲(1987年の「タッチ・オブ・グレイ」)なのにも関わらず、ルーツ・ミュージック、巧みな即興性、伝説的なサイケデリック・ジャムを融合させたグレイトフル・デッドは、 “ジャム・バンド・ムーブメント”の草分け的存在として高く評価された。バンドの解散後も、彼らが音楽シーンに与えた影響とイメージは根強く支持され続けている。ベン&ジェリーズにはジェリー・ガルシアにちなんだ“チェリー・ガルシア”という味のアイスクリームがあるほどだ。

日本でのK-POPブームは衰退しつつあると感じている日本人が多い中、最近のK-POPアーティストはアメリカでの活動を精力的に行なっているようだ。女性グループ2NE1(トゥエニィワン)のメンバーCLは、ジャスティン・ビーバーやカーリー・レイ・ジェプセンを手がけたアメリカの大物マネージャー、スクーター・ブラウンのマネジメントの元でアメリカでのソロ・デビューを果たす。CLのソロ・デビューは2NE1の解散を意味するのではという噂が飛び交っているが、2NE1とマネジメントは全面否定している。また、今週のビルボードでは、ニューヨークとボストンのラジオ局で2NE1の「アイ・アム・ザ・ベスト」がレギュラーローテーション入りしていると報じられている。2010年にリリースされた同曲だが、最近マイクロソフトのCMにフィーチャーされたことで人気が再燃し、現時点でMVの再生回数が1億回以上を記録している。

2015年1月6日から11日にかけて就航する〈ジャム・クルーズ〉はフロリダ、ホンジュラス、メキシコを巡るクルーズフェスだ。今年はギャラクティック、アンフリーズ・マギー、ジョン・スコフィールド、G・ラヴ、レタス、プリティ・ライツ、スナーキー・パピー、そしてジェリー・ガルシアのトリビュート・バンドなど多数のアーティストが出演する。