ロックの殿堂入りアーティストが発表

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2012年4月にロックの殿堂入り授賞式が米オハイオ州クリーヴランドで開催される。今年は、ガンズ・アンド・ローゼズ、レッド・ホット・チリ・ペッパーズ、ビースティー・ボーイズ、ザ・スモール・フェイセズ/フェイセズ、ドノヴァン、ローラ・ニーロ、そしてロック界に大きな影響を与えたブルース・ギタリストの故フレディー・キング、ロック界の伝説的存在ドン・カーシュナー、プロデューサーではコズィモ・マタッサ、トム・ダウド、グリン・ジョーンズらが殿堂入りを果たした。ノミネートされていたザ・キュアー、ドナ・サマー、ハート、Warらは投票数が足りずに殿堂入りを逃した。今年の選考結果も様々な面で物議を醸し出している。

殿堂入りに合わせてオリジナル・ラインアップでの再結成が噂となっているガンズだが、ファンらは再結成の実現と授賞式までの継続を願うばかりだ。バンドは1986年にデビューEPをリリース。2800万枚以上を売上げたデビュー・アルバム『アペタイト・フォー・ディストラクション』は現在でも歴代最高のセールスを記録したデビュー・アルバムとして君臨している。ドラマーのスティーヴ・アドラーは、深刻な麻薬中毒が原因で1990年にバンドをクビに。また、横柄なアクセルに嫌気がさしたイジー・スタドリンが1991年に脱退。1996年にスラッシュ、続いて翌年にはベーシストのダフ・マッケイガンがバンドを去った。それ以来、バンドのメンバーを絶え間なく変え続けてきたアクセルは、約14年の歳月と約1400万ドルを費やして製作させた2008年の『チャイニーズ・デモクラシー』で失敗。ライブ・バンドとしての集客力も確実に下降路線をたどりつつある。スラッシュと一緒に演奏することは二度とないと繰り返し公言してきたアクセルだが、最近のインタビューでは再結成を匂わせる発言も。イジーとダフとはわりと友好的な関係を保っている様だ。

ビースティー・ボーイズはロックの殿堂入りを果たした歴代3組目のヒップ・ホップ・グループとなる。4月14日の授賞式セレモニーは、2009年に癌性腫瘍があることが判明したアダム・ヤウクとのカムバック・パフォーマンスとして注目を集めている。

ザ・スモール・フェイセズ/フェイセズの殿堂入りは、ある意味彼らが2つの異なるバンドであることから物議を醸し出している。バンドの共通メンバーは、キーボーディストのイアン・マクラガン、ドラマーのケニー・ジョーンズ(後にザ・フーで活動)とロン・ウッド(後にザ・ローリング・ストーンズで活動)、そして1997年に他界したロニー・レーン。ザ・スモール・フェイセズは1965年から69年にかけて人気を博したイギリスの代表的モッズ・バンドとして知られるが、アメリカではヒット曲「イチクー・パーク」が特に有名だ。よりヘヴィーなサウンドを追求したバンドのリーダー/シンガーのスティーヴ・マリオット(1991年に火災事故で他界)がハンブル・パイを結成するためにバンドを脱退。その後、ウッドがジェフ・ベック・グループで一緒に活動したことのあるロッド・スチュワートがヴォーカルとして参加した。世界的成功を収めたフェイセズだが、ロッド・スチュワートのソロ活動がバンドよりも成功するようになったのもあり解散を余儀なくされた。近年では酷評されつつも順調な売行きのソロ活動を継続しているロッドに対して、フェイセズのメンバーはいまだに憤りを感じている様だ。昨年、バンドはシンプリー・レッドのミック・ハックネルをヴォーカルに迎えてフジロックへの出演をふくむツアーを行なった。

ドノヴァンは60年代に絶大な人気を誇った多才なシンガーソングライターだが、ボブ・ディランの登場によって影が薄れてしまい、彼を全く知らない若者も多い。これまでに、オールマン・ブラザーズの「ゼア・イズ・ア・マウンテン」、アル・クーパー率いるスーパー・セッションの「シーズン・オブ・ザ・ウィッチ」など多数の楽曲がカバーされてきている。

ローラ・ニーロの殿堂入りも賛否両論を巻き起こしている。ニーロのアルバムでトップ100に入ったのは、32位にランクインした1969年の『ニューヨーク・ティーベリー』の1作品のみ。しかし、長年に渡って評論家のお気に入りであることや、フィフス・ディメンション、ブラッド、スウェット&ティアーズ、スリー・ドッグ・ナイト、バーバラ・ストライサンドらに大ヒット曲を提供してきたことが評価された。また、ニーロで初めて成功を収めた音楽ビジネスの重鎮デヴィッド・ゲフィンのバックアップも影響したようだ。