ロックの殿堂入りを果たしたトッド・ラングレンだが、セレモニーには参加しなかった。ラングレンいわく、ロックはスポーツみたいな競技ではなく、協会の投票システムに納得がいかない、ロックの殿堂セレモニーで会うような金持ちや著名人と肩を並べるよりもファンと会っている方が自分には合っているとのこと。隠して、彼の「The Individualist, a True Star」は続く。
例年のニューオリンズ、ジャズ・アンド・ヘリテージ・フェスティバルで、ニューオリンズ市はザ・ビッグ・イージー賞(ニューオリンズのニックネーム、ザ・ビッグ・イージーに因む)のスポンサーをしている。今年の受賞者はマイク・ディロン・バンドで、ベスト・ロック賞とベスト男性パフォーマンス賞を受賞。ベスト女性パフォーマンス賞とベストR&B賞はタロニア「タンク」ボールに、ベスト・ブルース賞はサマンサ・フィッシュに、ベスト・ブラスバンド賞はホット・エイト・ブラス・バンドが受賞。ベスト・ザディコ賞はドウェイン・ドプジーとザディコ・ヘルレイザーに。ベスト・トラディショナル・ジャズ賞はチューバ・スキニーが受賞し、ベスト・エンターテナー賞はザ・リヴァイヴァリスツがもらった。日本の映画「怒り」に「Tucked In」が使われていたストゥープ・キッズもこのイベントで演奏していた。
今年フジロックで演奏したケイシー・マスグレイヴスだが、今年のカントリー・ミュージック・アワードの「今年のアルバム」賞を、彼女の『Golden Hour』が受賞した。この受賞は、様々な面から評価されている。まず、ラジオで聴けるカントリー音楽は男性シンガーが非常に強く、とある情報によると、女性アーティストの曲はラジオでは10%ほどしか流れないという。今年、彼女以外の4人の候補者はすべて男性で、ラジオでも彼女よりはるかに多く取り上げられてきた。また、ケイシーのアルバムは厳密にはカントリーのみではなく、ポップやエレクトロニックの影響が大きい。
ケイシー・マスグレイヴス、受賞おめでとう。また、彼女の幅広い活躍に気づいたスマッシュ、おめでとう。
日本人監督の是枝裕和が『万引き家族』でカンヌ国際映画祭の最高賞、パルムドールを受賞した。彼は日本でも特に評価の高い映画製作者で『幻の光』(1995)、『ワンダフルライフ』(1999)、『誰も知らない』(2004)、『歩いても歩いても』(2008)、『空気人形』(2009)などで国際的に評価され、数々の賞を受賞している。是枝監督は文部科学省からの誘われた際も、自分の作品は政府の権威とは別にしていたほうが良いと断っている。
昨夜、デイヴィッド・ボウイが5つのグラミー賞を受賞し、すでに他界したアーティストとしては驚異的な快挙を遂げた。40年間の音楽キャリアの中で、1985年のミュージックビデオ「Jazzin’ With Blue Jean」1つの受賞のみだったことを考えると驚きだ。
2016年の他界直前、ボウイはドニー・マッカスリン・バンドとメガ・ドラマー、マーク・ジュリアナをサポートに、有名なジャズテイストのアルバム『Blackstar』を発表していた。今月はじめにブルーノート東京で演奏したマッカスリンがボウイの代理で今回のグラミーを受け取った。マーク・ジュリアナは今月末に、バッファロー・ドーターのシュガー吉永やマース・ヴォルタのホアン・アルデレッテを含むエレクトリック・ロックバンドのヘイロー・オービットと来日する。
タワーレコードの創始者で熱心な美術収集家のラス・ソロモンが、カリフォルニア州の名誉の殿堂(California Hall of Fame)入りを果たした。今年はこの他に、アメリカで高い知名度と人気を誇る日系アメリカ人俳優のジョージ・タケイ(SFテレビドラマ『スタートレック』の初代ヒカル・スール役、最近では優しくウィットに富んだオープンな同性愛者人権活動家役をつとめている)、ニュースキャスターとして尊敬を集めるマリア・シュライバー(元アーノルド・シュワルツネッガー夫人)、そして俳優で環境保護主義者のハリソン・フォードらが殿堂入りした。
スティーブ・ミラー、チープ・トリック、ディープ・パープル、シカゴとN.W.A.がロックの殿堂入りを果たしたが、懐かしさだけではなく、不満も噴出している。
そもそも、ロックの殿堂というもの自体が、その成り立ち直後からひいきが過ぎる、企業的過ぎるなど、物議を醸している。ジョン・ライドンが、セックス・ピストルズの殿堂入りを「便所のシミ」「ワインに入ったションベン」などと評して授賞式に参加しなかったのは有名な話だ。他にも、ローリング・ストーン誌の仕掛け人でメディア界の大物、ジャン・ワナーが理事として大きな権力を持っていることから、「ジャン・ワナーのテニスの相手をしないと入れない」などと評されている。ディープ・パープルのリッチー・ブラックモアは、現在のバンドの構成的にもライブ演奏が難しいこともあり、授賞式への参加を拒否。殿堂は、ブラックモアを含むディープ・パープルのオリジナルメンバーは表彰したが、ブラックモア以降にバンドを20年に渡り支えたギタリストのスティーブ・モーズなど、後から参加したメンバーは表彰者に入っていない。
シカゴのオリジナルメンバーは、5人が参加。最初のボーカリスト、ピーター・セテラ(1985年にソロ活動に専念するためバンドを脱退したが、10年以上何も発表していない)は理由はよく分からないが、参加を辞退している。すでに鬼籍に入っているギタリストのテリー・キャスの代わりは、彼の娘が務めた。
N.W.A.は表彰を終えると、ライブ演奏無しで素早く退場した。アイス・キューブは、ジーン・シモンズのラップはロックの殿堂に属さないという批判に対して力強く反論し「俺たちはロックンロールか?もちろん俺たちはロックンロールだって答えるさ。ロックっていうのは楽器じゃない。音楽のスタイルですらない。ロックは、ブルースやジャズ、ビーバップ、ソウル、ロック、R&B、ヘヴィメタル、パンクロック、そしてヒップホップを含む精神のことを言うんだ。ロックっていうのは俺たちより前の人間に媚びるものではない。自分たちの道を音楽と人生で切り開くことさ。それが俺たちにとってのロックだ」と述べた。
スティーブ・ミラーは、このイベントに対する苦情を長々と述べた。ミラーや妻にはチケットが与えられたが、彼のバンドメンバーやスタッフは、一人につき1万ドル払わなければ座席が確保できないと言われたとのこと。
主催者は、ミラーやシカゴのスピーチを途中で切り上げさせようとしたが、両者とも拒否し、シカゴの元ドラマー、ピーター・セラフィンは、MCに対して「ふざけんな」と一言付け加えた。
チープ・トリックは、この授賞式でドラマーのバン・E・カルロスと再会。カルロスは未だメンバーとされているが、ツアーには出ず、リック・ニールセンの息子ダックスが代わりを務めている。また、カルロスとバンドの間にあった法的な問題も解決されたようだ。
第58回グラミー賞にノミネートされている偉大なベーシスト、マーカス・ミラーのジャズファンク・アルバム『アフロディーザ』は、聴く価値のある作品だ。今作には、テンプテーションのヒット曲「パパ・ワズ・ア・ローリング・ストーン」のニューオーリンズ・ファンク風のカバー・バージョン、アフリカ色の強い「ハイライフ」、モーシャン・ワーカーとパプリック・エナミーのチャック・Dをフィーチャーした「アイ・キャント・ブリーズ」などが収録されている。
先月20日、イギリス在住の日本人女性コメディアンのユリコ・コタニさんが「BBC Radio New Comedy Award 2015」で優勝という快挙を成し遂げた。芸歴はまだ2年以下というコタニさんが日本人訛りの強い英語で繰り広げる漫談やコントはイギリスの観客に大好評で、今年初めに開催された〈エディンバラ・フェスティバル〉でも2位を受賞している。
ピアニスト/作曲家のダスティン・オハロランが手がけたアメリカのテレビ番組「トランスペアレント」のサントラが第67回エミー賞にノミネートされている。男女デュオのデヴィックスとして有名になったダスティンは、アダム・ウィルツィーとのプロジェクト、ア・ウイングド・ヴィクトリー・ フォー・ザ・サルンの活動の他、2005年にはソフィア・コッポラ監督の『マリー・アントワネット』にサントラを提供。それ以降も多数のテレビ番組、映画、ダンスプロダクションの楽曲を手がけている。