ソングライター/ギタリストのトム・ヴァーレインが73歳で他界した。短期間の闘病の後。
本名トーマス・ミラーだった彼は、ニューヨーク市に移住後、フランスの詩人ポール・ヴェルレーヌの名前の英語読みを取ってステージネームとした。幼少期からの友人だったリチャード・マイヤーズ、のちのリチャード・ヘルとニューヨークに引っ越し、短期間だがネオン・ボーイズというバンドを組んだりしていた。ヘルと別れた後は卓越した技術を持ったギタリスト、リチャード・ロイドと、テレビジョンというバンドを結成。二人のギタリストの融合によって非常にユニークなサウンドを提供した。
ヴァーレインはマイルス・デイヴィス、ベンチャーズやヴェルヴェット・アンダーグラウンドなど幅広いアーティストから影響を受けていた。彼が特に好んでいたのが、アメリカに輸出されたものを手に入れたという日本限定盤のマイルス・デイヴィスのアルバム『Agatha』や『Dark Magus』だった。
テレビジョンは、ライブ場所を求めて1974年3月当時、閑古鳥の鳴くバーだったCBGBのオーナー、ヒリー・クリスタルに接触、ライブの開催許可を得る。これが70年代のニューヨークパンク・シーンの始まりとなり、ラモーンズ、ブロンディ、ディクテイターズ、そしてヴァーレインの恋人だったパンク詩人のパティ・スミスも参加するようになった。1975年10月にはテレビションはオーク・レコードから『Little Johnny Jewel』というシングルをリリース、その後多くのレーベルから誘いを受け、エレクトラと契約してデビューアルバム『Marquee Moon』(ほぼ全曲をヴァ―レーンが作曲)を1977年2月8日にリリースした。当時批評家からは高く評価され、現在はマスターピースと高く評価されているこのアルバムだが、アメリカチャートにはランクインすらしなかった。しかしUKチャートでは28位となり、のちにブロンディを前座に据えたイギリスツアーが実現した。1978年の2番目のアルバム『Adventure』も好評だった割に売れず、その後すぐにバンドは解散、ヴァーレインはソロとして活動を始める。
しかし、1992年に再結成し、3枚目のアルバムをリリース、これもわずかしか売れなかった。しかし、非常に人気の高いライブバンドと評され、世界各国でライブショーやフェスに参加、2002年のフジロックにも登場している。10年ほど前、プレスに対して新しいアルバムがもうすぐ完成すると発表していたが、依然登場せずであった。

90年代を代表するオルタナ・ロックバンド、ペイヴメントが再再結成し、2月15日と16日は東京ドームシティホール、18日には大阪難波ハッチでライブ開催する。
このバンドは1989年にカリフォルニア州ストックトンで結成、アメリカのインディレーベル、マタドール・レコードで成功し、大きなレーベルからのオファーがありながらもインディーズで活動を続けた。1999年から2010年の間解散時期にはシンガー兼ギタリストのスティーブン・マルクマスはソロでもそこそこの成功をおさめた。2011年に再結成してツアーを周ったが、その後また解散。2019年にも再結成すると発表したが、新型コロナウイルスのせいで少しだけライブをした後は活動が止まっていた。

シンガー・ソングライターで、パニック・アット・ザ・ディスコ!、ライアン・アダムス、レイチェル・ヤマガタ、マンディ・ムーア、ジェニー・ルイス、ヴォルフペックやシャニア・トウェインをはじめとした多くのシンガーに楽曲を提供しているマイク・ヴィオラが、無料ライブをロサンゼルスで、「Mike Viola and Everybody Else」というタイトルで開催している。1月20日のライブはオンラインライブとしても発表し、ユーチューブで見ることもできる。このライブはリハーサル無しの楽しいイベントであることが多い。最近やっていたヴォルフペックのテオ・カズマンがドラム、ファンクバンドのスケアリー・ポケッツのジェイコブ・ジェフリーズも参加した。2月には、マイクのヨーロッパツアーが予定されていて、日本にも2024年の春に来るかもしれない、とあやふやだったがコメントがあった。日本では、2020年に日本オンリーのベスト盤がソニーからリリースされている。

リッキー・リー・ジョーンズが4月28日、新譜『Pieces of Treasure』をBMGからリリースする。このアルバムでは、以前のヒットアルバム『Pirates』をプロデュースした ラス・ティテルマンと再度組むことになる。グラミー賞受賞シンガーである彼女は、この新アルバムで「There Will Never Be Another You」「One For My Baby」「On the Sunny Side of the Street」などのアメリカン・スタンダード・ナンバーを歌う予定だという。

今月の彗星ニュースは、エイミー・ワインハウスのバイオピック(伝記映画)だ。タイトルは彼女が大人気となったセカンドアルバムと同じ『Back to Black』となる。このイギリス人シンガーを演ずるのはマリサ・アベーラ。
2003年にアルバム『Frank』でデビューしたワインハウスだが、このアルバムからはヒットは1曲も出なかったかわりに徐々にイギリスチャートで評価が上がり、最終的には13位となった。彼女のロニー・スペクターを彷彿とさせるレトロなイメージも話題になり、彼女の声やマテリアルの幅広さが更に人気を高めた。2004年の二枚目のアルバム『Back to Black』はマーク・ロンソンがプロデュースに入り、自伝的ヒット曲「Rehab」で始まったこのアルバムは、複数プラチナレコードとなり、グラミー賞も5つ受賞した。しかし、薬物の過剰摂取は止まらず、2011年27歳の時、アルコール過剰摂取で世を去った。

素晴らしいパーカッショニスト、マイク・ディロンが新バンドパンダデリックのデビューアルバムを発表する。バンドの名前が示唆する通り、ファンクとパンクの融合と、さらにジャズの要素を取り入れた楽曲をメインとする。このバンドには、マイク・ディロンの他にもキーボード奏者のブライアン・ハース(セシル・タイラーの楽しさとアーマド・ジャマルのダイナミックなタッチを併せ持つと評されている)、ドラマーにニッキー・グラスピー(ビヨンセのバックや、ダムスタファンクに所属)が参加。初のアルバム『Inflorescense』は1月27日に発売された。ストリーミングサービスでも視聴可能だ。

ニューオリンズのマスター・ファンクバンド、パパ・グロウス・ファンクが5月8日、ニューオリンズの著名なライブハウス、ティピティーナズで再結成ライブを行うと発表した。
バンドのリーダーはハモンドB3オルガン奏者のジョン・”パパ”・グロウ(現在はソロ活動や、ビル・ペインとリトル・フィーとのキーボードを務めたり、ドゥービー・ブラザーズと一緒に活動もしている)、メンバーにギターのジューン山岸(山岸潤史、70年代に日本のウェスト・ロード・ブルース・バンドで活躍)、元ギャラクティックのサックス奏者ジェイソン・ミングルドルフ。パパ・グロウズ・ファンクは日本でもファンが多い。フジロックではチャーと共演、グロウと山岸は他にもファンク・オン・ダ・テーブルのメンバーとしても日本で演奏、ライズのベーシスト、ケンケンと元ビヨンセのドラマーだったニッキー・グラスピーが共演した。

少年ナイフが新譜『Our Best Place』を2月15日に日本のP-Vine社、北米はキャラメル社からの発売。他地域からは追って発表される。バンドは3月にヨーロッパツアー、春にUKツアー、そののち北アメリカのツアーを計画している。

コーチェラ・フェスティバルが4月14日から16日と21日から23日に開催する例年のイベントのラインナップを発表した。ブラックピンク、バッド・バニー、フランク・オーシャンが参加予定。
ブラックピンクはコーチェラ初参加ではないが、初のヘッドライナーとしての参加となる。また、韓国アーティストがヘッドラインになるのは初めて。プエルトリコのラッパー、バッド・バニーもラテンアメリカ出身アーティストとして初のヘッドライナーとなる。主流な音楽ファンにはあまり知名度が高くないバッド・バニーだが、カルディ・BやJ・バルヴィン、ドレークらラップスターとの共演で世界的に知名度を上げ、2020年から2023年のスポティファイでの最もストリーミング数が多いアーティストとなっている。プラチナセールスを誇るR&Bシンガー・ソングライター兼ラッパーのフランク・オーシャンは2020年にヘッドライナーになる予定だったはずが新型コロナによりキャンセルになったため、今回は満を持して迎えられた。