音楽ビジネスの伝説と呼ばれた男、アート・ループが104歳で他界した。ピッツバーグのユダヤ系、アーサー・ゴールドバーグとして生まれ、スペシャルティ・レーベルを1046年にロスで始めた。彼は当時のメジャーレーベルが興味を示さなかったR&Bにフォーカス。彼本人がロサンゼルスのナイトクラブを徘徊し、才能のあるアーティストを探した。また、売れるアーティストを聞き分ける耳を持っていた。ループのもっとも有名な発掘は、14曲のトップテンヒットをもつ華やかなるリトル・リチャードだ。リチャードはロックのスタンダードとなる「Bad Boy」「Slow Down」 「Dizzy Miss Lizzy」や「Bonie Maronie」などを作曲、世に広めた。
ループはまた、多くのゴスペルシンガーをサポートしていて、その中から羽ばたいたのがソウルフルなバラード・シンガーのサム・クックだった。
LAを基盤に活躍していたループだったが、ニューオリンズにも強いつながりがあり、そこで「Personality」「Lawdy Miss Clawdy”」「Stagger Lee」などで大ヒットを飛ばしたロイド・プライスを発掘。また、非常に影響力のあるギタリストとなったギター・スリムもここで遭遇した。彼はのちに「The Things That I Used to Do」でミリオン・セラーとなった。
1960年代になるとループはぺイオラ(ラジオDJに違法な料金を払いイベントなどでプレイしてもらうこと)などの流行りに辟易したのもあり、音楽業界自体に飽きてしまい、他の事業を起こす。1991年にはスペシャルティ・レーベルもファンタジー・レコードに売却した。
音楽業界の本物の偉人の一人、アート・ループよ、安らかに。