今月の彗星ニュースは、エイミー・ワインハウスのバイオピック(伝記映画)だ。タイトルは彼女が大人気となったセカンドアルバムと同じ『Back to Black』となる。このイギリス人シンガーを演ずるのはマリサ・アベーラ。
2003年にアルバム『Frank』でデビューしたワインハウスだが、このアルバムからはヒットは1曲も出なかったかわりに徐々にイギリスチャートで評価が上がり、最終的には13位となった。彼女のロニー・スペクターを彷彿とさせるレトロなイメージも話題になり、彼女の声やマテリアルの幅広さが更に人気を高めた。2004年の二枚目のアルバム『Back to Black』はマーク・ロンソンがプロデュースに入り、自伝的ヒット曲「Rehab」で始まったこのアルバムは、複数プラチナレコードとなり、グラミー賞も5つ受賞した。しかし、薬物の過剰摂取は止まらず、2011年27歳の時、アルコール過剰摂取で世を去った。
60年代の大人気TV番組がリバイバルで人気を博している。1964年から66年に放送されていた「アダムス・ファミリー」は、1938年に始まったチャールズ・アダムスの漫画を原作にした大ヒット作品だ。おどろおどろしくて奇妙な家族が実際に放映されたのは数年に過ぎないが、その後何度も再放送を重ね、他の番組やアニメ、映画、ビデオやキャラクターグッズなどに多面展開した。一番最近のリバイバルはネットフリックスの「Wednesday」で、10代の代わった少女、アダムス一家のウェンズデイ・アダムスをジェナ・オルテガが好演している。このシリーズは、ウェンズデイが、81年のカルト曲と言われるクランプスの「Goo Goo Muck」に合わせて踊る予告編で大いに注目を集めた。
アダムス一家とほぼ同時に現れて同じく大人気だったのがもう一つの怪物一家番組がマンスターズだ。近年、ホワイト・ゾンビというバンドの元メンバーで、2000年以降ホラー映画の監督をしていたロブ・ゾンビが自ら脚本・監督を務め再構築した映画が発表された。が、評判はそこそこ、といったところ。
ジャパンインディーズ映画祭が11月22日に開始、29日まで開催され、すべての映画がオンラインで無料鑑賞できる。今回の参加作品は23作品で、一番視聴される回数が多かった映画が観客賞を受賞することになり、11月28日に代官山のシアターズ・ギルドでのイベントで上映される。詳細はこちらを確認してほしい。 https://soundsurf.com/station/
マーティン・スコセッシのドキュメンタリー『Personality Crisis: One Night Only』が公開された。ニューヨーク・ドールズのシンガー、デヴィッド・ヨハンセンが扮するヨハンセンのもう一人の自分、バスター・ポインデクスターとしてニューヨークのカフェ、カーライルで行ったライブを中心に据えたドキュメンタリー。バスター・ポインデクスター名義では80年代から90年代にかけて3枚のアルバムをリリースしている。ドールズがグラム、R&Bやパンクスタイルだったのに対しバスター・ポインデクスターはよりレトロかつコミカル、キャブ・キャロウェイやルイス・ジョーダン風で、ヨハンセンのルーツ・ミュージックに対する深い知識を表していた。この映画は9月1日から開催されたニューヨーク・フィルム・フェスティバルで公開された。
パンクについていくつもの映画を作成して知られているダニー・ガルシアが要チェックの新作ドキュメンタリー映画『Nightclubbing: The Birth of Punk Rock NYC』をリリースする。この映画では1965年に開店し1981年に閉店したニューヨークのナイトクラブ、マクシズ・カンザス・シティがいかにアンダーグラウンドのセレブ達御用達だったかを紹介している。常連とされるアーティストには、NYドールズのシルヴェイン・シルヴェイン、デッド・ボーイズのジミー・ゼロ、エリオット・マーフィー、レニー・ケイ、写真家のボブ・グルーエン、アリス・クーパーやジェイン・カントリーなどがいた。
クリーデンス・クリアウォーター・リバイバルのドキュメンタリー映画『Travelin’ Band』が9月16日一般公開されることとなった。1970年のロイヤル・アルバート・ホールでのコンサートを含む多くのライブ動画と、俳優ジェフ・ブリッジスによるナレーションでつづられる、バンドの歴史を網羅した映画になる予定。1968年から1972年の間、CCRはトップ10に入った9枚のシングルと8枚のゴールドアルバムに代表される、素晴らしい軌跡を描いた。また、彼らは当時大人気だったテレビ番組「エド・サリバン・ショウ」やウッドストックでも演奏した。映画と同時に、ロイヤル・アルバート・ホールでのコンサートはCDでもリリースされる。
ミュージシャン兼ラジオDJ兼映画プロデューサーのマイク・ロジャーズが、ヨーコ・オノのドキュメンタリーを手掛けている。この映画は、ジョン・レノンと出会う以前の彼女自身の人生にフォーカスを当てている。ヨーコ・オノは力のある安田財閥の一族として生まれ、4歳から音楽のトレーニングを受け、子供の頃にニューヨークシティで過ごし、第二次世界大戦時には東京で大空襲にもあっている。1966年11月にジョン・レノンと出会う以前に、彼女はアバンギャルド作曲家の一柳 慧と結婚、彼女自身もアヴァンギャルド・フラクサスのグループの一員として、アーティストの地位を確立。
マイク・ロジャーズは音楽キャリアをロサンゼルスをベースに活動したパンク・バンドのロッターズで開始。日本人ハーフだったロジャーズは、1983年に日本に移住し、その後日本のエンターテイメントビジネスに影響を与えてきた。彼がこれ以前にプロデュースした映画には『Ghostroads(ゴーストロード)』や『松千代 - ライフ・オブ・ア・ゲイシャ』などを含む。
音楽業界の「だまし」映画と呼ばれた『This Is Spinal Tap』の続編が制作中で、オリジナル映画の40周年にあたる2024年にリリース予定とのことだ。前作と同じく、監督はロブ・レイナー、バンドメンバーはハリー・シアラー、クリストファー・ゲストとマイケル・マッキーン(オリジナルのドラマー役リック・パーネルは今月初めに他界)。スタジアムを満席にするレベルのバンドとなったスパイナル・タップが半リタイア状態で、メンバー同士もけして仲良くない状態から、再びライブ演奏に向けて動き出す設定だという。
プログレッシヴ・ロックバンド、キング・クリムゾンのドキュメンタリー映画『In the Court of the Crimson King』がサウス・バイ・サウスウエスト・フィルム・フェスティバルで初披露される。キング・クリムゾンは1969年のデビューから、ギタリストで変人のロバート・フリップ以外は多くのメンバーが入れ替わっている。バンドに所属したことのある著名なミュージシャンには、トニー・レヴィン(その後ピーター・ガブリエルのコラボレーターとして長く活躍)、グレッグ・レイク(後にエマーソン・レイク・アンド・パーマーを結成)、エイドリアン・ブリュー(ボウイ、ザッパ、トーキング・ヘッズに参加)、ボズ・バレル(後のバッド・カンパニーメンバー)、ジョン・ウェットン(エイジア、UKのメンバー)、そしてビル・ブルーフォード(イエスのメンバー)などもおり、何度も出戻るメンバーもいた。
長らく噂になっていた、フーのドラマー、キース・ムーンの映画についに青信号が灯った。タイトルは『The Real Me』になる予定。フーのバンドメイトだったピート・タウンゼントとロジャー・ダルトリーがエグゼクティブ・プロデューサーを務める。非常に評価の高いビートルズ関連のドキュメンタリーの数々を手掛けたホワイト・ホース・ピクチャーズがプロデュース。
ムーンはエネルギッシュで型にとらわれないドラミングスタイルに定評があり、また彼のいたずらやパーティ好きも有名だ。しかし、ドラッグ使用や過量な飲酒により、1978年に32歳でこの世を去った。撮影は6月に開始が決定しているが、配役は未定という。