全てのロック・ミュージックファンは、自らを「ロックンロールの立役者」と呼ぶ新しいリトル・リチャードのドキュメンタリー映画『Little Richard: I Am Everything』によって勇気付けられるだろう。熱狂的で、複雑で、奇抜で、素晴らしい、パン・セクシュアルなシンガー兼ピアニスト兼作曲家は、このジャンルの確立に多大な貢献をしていることがわかる。リチャードは14歳にしてプロの音楽家となり、ルイス・ジョーダンの曲をドラアグ、またはヴォードヴィルのショーで演奏した。1955年、まだバスの集合停留所で皿洗いをしている際に「Tutti Frutti」という曲がヒットした。これは、彼が書いたゾッとすると同時にユーモアに溢れた曲の洗練されたバージョンだった。この曲から続けて「Long Tall Sally」「The Girl Can’t Help It」「Lucille」など連続でヒットをとばす。彼のパワフルで鮮やかな性格も人気を後押しし、多くの曲がロックのスタンダードとなった。

大人気の女優兼シンガー、セレーナ・ゴメスがリンダ・ロンシュタットの伝記映画で主役を務めることになった。ロンシュタットと同じく、ゴメスはメキシコ出身で、エンタメ業界で幅広いキャリアを構築している。ロンシュタットは最初のヒットを1967年、ストーン・ポニーのシンガーとして「Different Drum」で発表し、70年代にはソロのスーパースターとして開花。その後グラミー賞を11回受賞、トップ40ヒットに21曲をチャートイン、西海岸音楽シーンの中心として活躍した。イーグルス、リトル・フィート、ウォレン・ゼヴォンら多くのミュージシャンと仕事をしている。彼女の70年代における多大な人気を示すハイライトイベントとしては、1977年、タイム・マガジンの表紙を飾り、1979年は武道館にてコンサートを開催、などがある。80年代になるとポップの世界を超え、ビッグバンドとの共演、メキシコの歌やショーソング、カントリー、ロックなど多くのジャンルを歌い、100万以上の売り上げを誇った。
ゴメスは彼女のキャリアの早い時期に3枚のアルバムをリリース、そのすべてがゴールド・レコードとなっている。最近はTVドラマ「Only Murders In the Building」でスティーブ・マーティン、マーティン・ショートと共演し、大成功を収めた。

近年、音楽業界で、ミュージシャンの自伝が予期せぬヒット・トレンドになっている。2021年に自伝『Crying in H Mart』を出版した韓国系アメリカ人のミシェル・ザウナーは、ジャパニーズ・ブレックファーストという名前で音楽活動をしながらこの本を出し、映画化が決まり、それにより最近のアルバム『Jubilee』の売り上げも上がっている。
同じく2021年にリッキー・リー・ジョーンズが自伝『Last Chance Texaco: Chronicles of an American Troubadour』で彼女の波乱に満ちた子供時代からトム・ウェイツ、ローウェル・ジョージとの恋愛を綴り、ベストセラーになった。
現在は、ブリトニー・スピアーズが自伝『The Woman In Me』を解き放ち、8歳から始まる彼女の複雑なキャリアについて、また心の問題について、父親が自身のビジネスを仕切っていたこと、マライア・キャリーへの執着や、ジャスティン・ティンバーレイクとの波乱万丈な恋愛について綴り、ベストセラーとなっている。

ジム・オルークは映画『Hands That Bind』のインスト・サウンドトラックをドラッグ・シティ・レコードから出版したばかりだ。この映画の監督はカイル・アームストロング、カナダの片田舎を舞台に繰り広げられる不吉なミステリーで、「プレイリー(草原の)・ゴシック」と評される。

長期の沈黙?を経て、オーケー・ゴーが復活する。2014年リリースの『Hungry Ghost』アルバム以来久々の活動開始だ。オーケー・ゴーのシンガー、ダミアン・クーラッシュと彼の妻で作家・コメディ作家・映画プロデューサーを兼業するクリスティン・ゴア(元アメリカ副大統領アル・ゴアの娘でもある)は1995年に始まったビーニー・ベイビーズというぬいぐるみの大流行(限定生産の小型のぬいぐるみがブームになり、最後には投資対象として時には何千ドルもの価値で売買されていた)を描いた映画「The Beanie Bubble」の制作を手掛けていた。この映画の主演はザック・ガリフィアナキス(ザ・ハングオーバー出演)とエリザベス・バンクス(ザ・ハンガーゲームス出演)。この映画はアップルTVで7月28日からストリーミングにて視聴可能となる。この映画には、オーケー・ゴーの新曲「This」も使われている。アルバムは今年後半には発売予定だ。

今月末、待望のダニー・ガットンのドキュメンタリー『The Humbler』がフィルム・フェスティバルでお披露目となる。ガットンのあだ名だったThe Humblerの由来は、彼の演奏を聴いた全てのギタリストが謙虚(humble)な気持ちになることからといわれる。この映画にはレス・ポールやジョー・ボナマッサ、アルバート・リー、ジョン・セバスチャンら多くのインタビューが採用されている。ガットンはテレキャスター・ギターの達人で、ロカビリー・シンガーのロバート・ゴードンとの演奏が最も有名だったにもかかわらず、自身の様々なジャンル混合音楽のスタイルを「レッドネック・ジャズ」と呼んでいた。

東京をベースに活躍するラジオDJ兼作家兼映画監督のマイク・ロジャーズが、ヨーコ・オノの短いドキュメンタリー映画を書き下ろし・監督した。この映画は『Grapefruit』というタイトルで、オノの1964年に出版された本と同名だ。この映画は彼女のアートや哲学についてであり、ジョン・レノンや音楽との関連については特に描かれていない。この特殊な視点により、日本で最も著名な女性についてのイメージが広がることだろう。主役を演じるのはシンガーで女優のナツキ・ベレーザ。すでに数々のフィルムフェスティバルでの発表が決定しており、評価も素晴らしく高い。

今月の彗星ニュースは、エイミー・ワインハウスのバイオピック(伝記映画)だ。タイトルは彼女が大人気となったセカンドアルバムと同じ『Back to Black』となる。このイギリス人シンガーを演ずるのはマリサ・アベーラ。
2003年にアルバム『Frank』でデビューしたワインハウスだが、このアルバムからはヒットは1曲も出なかったかわりに徐々にイギリスチャートで評価が上がり、最終的には13位となった。彼女のロニー・スペクターを彷彿とさせるレトロなイメージも話題になり、彼女の声やマテリアルの幅広さが更に人気を高めた。2004年の二枚目のアルバム『Back to Black』はマーク・ロンソンがプロデュースに入り、自伝的ヒット曲「Rehab」で始まったこのアルバムは、複数プラチナレコードとなり、グラミー賞も5つ受賞した。しかし、薬物の過剰摂取は止まらず、2011年27歳の時、アルコール過剰摂取で世を去った。

60年代の大人気TV番組がリバイバルで人気を博している。1964年から66年に放送されていた「アダムス・ファミリー」は、1938年に始まったチャールズ・アダムスの漫画を原作にした大ヒット作品だ。おどろおどろしくて奇妙な家族が実際に放映されたのは数年に過ぎないが、その後何度も再放送を重ね、他の番組やアニメ、映画、ビデオやキャラクターグッズなどに多面展開した。一番最近のリバイバルはネットフリックスの「Wednesday」で、10代の代わった少女、アダムス一家のウェンズデイ・アダムスをジェナ・オルテガが好演している。このシリーズは、ウェンズデイが、81年のカルト曲と言われるクランプスの「Goo Goo Muck」に合わせて踊る予告編で大いに注目を集めた。
アダムス一家とほぼ同時に現れて同じく大人気だったのがもう一つの怪物一家番組がマンスターズだ。近年、ホワイト・ゾンビというバンドの元メンバーで、2000年以降ホラー映画の監督をしていたロブ・ゾンビが自ら脚本・監督を務め再構築した映画が発表された。が、評判はそこそこ、といったところ。

ジャパンインディーズ映画祭が11月22日に開始、29日まで開催され、すべての映画がオンラインで無料鑑賞できる。今回の参加作品は23作品で、一番視聴される回数が多かった映画が観客賞を受賞することになり、11月28日に代官山のシアターズ・ギルドでのイベントで上映される。詳細はこちらを確認してほしい。 https://soundsurf.com/station/JIFF