ジャズの巨匠Yusef Lateefが死去

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テナーサックス、フルート、オーボエ、バンブーフルート等を使いこなす偉大なジャズ・マルチリード奏者のユセフ・ラティーフが12月23日に他界した。享年93歳。本名ウィリアム・ハドルストンは幼少期と高校時代をデトロイトで過ごし、活動初期にはラッキー・ミリンダーやディジー・ギレスビーらと共演。1950年にイスラム教へ改宗して名前をユセフ・ラティーフに改名し、1957年にソロ名義でレコーディングを開始した。早期から異文化の音楽を熱心に学び始めたラティーフは、1961年発表のアルバム『イースタン・サウンズ』からインド、アフリカ、中国、日本、トルコなど世界各地の音楽から受けた影響を自身のサウンドに取り入れるように。生涯を通してジャズ・スタンダード、映画音楽、自身が作曲した曲など多様な作品を発表し、1963年には「リンゴ追分」をレコーディングした。また、ソロ名義のアルバムだけでなく、チャールズ・ミンガス、キャノンボール・アダレイらとのコラボ作品も発表している。1980年に“お客さんが煙草を吸ってお酒を飲んでいる場所では演奏したくない”という理由でクラブでの演奏活動を辞めた。ジャズという限られたカテゴリーに分類されることを嫌ったラティーフはブルースに深く傾倒し、後に“ワールド・ミュージック”と呼ばれるようになる音楽を生み出すことに貢献した。1987年には『リトル・シンフォニー』でグラミー賞ニュー・エイジ・アルバム部門を受賞した。“静かなる巨人”ことユセフ・ラティーフの冥福を心から祈りたい。