パパ・グロウズ・ファンクのドキュメンタリー映画『Do U Want It?』が、15のフィルム・フェスティバルへの出品の後、アップルTV、グーグル・プレイ、アマゾン、DVDで提供される。パパ・グロウズ・ファンクは伝説的なニューオリンズのバンドで、メイプル・リーフ・バーで長いこと演奏を担当していた。リーダー、ジョン・”パパ”・グロス率いるギタリストのジューン・ヤマギシ、サックス奏者のジェイソン・ミングルフドルフ、ベーシストのマーク・ペロ、ドラマーのジェフリー・”ジェリービーン”・アレグザンダーがメンバーとして活躍した。バンドは2013年に「無期限の休暇」に入ったが、メンバーは個々に活躍を続けている。グロスはリトル・フィートにビル・ペインの代役で入ったり、ドクター・ジョンのトリビュートをソロで行う他、ファンク・オン・ダ・テーブルのメンバーとして活動(ここにはジューン・ヤマギシ、ドラマーのニッキー・グラスピー(ビヨンセやダムスタファンクとの共演で知られる)、また日本からベースにケンケンも参加)。ファンク・オン・ダ・テーブルは3月に日本公演を開催、13日に下北沢ガーデンで、また京都や名古屋でのライブも決定している。

来年、カントリー映画のアウトローの代表格であるガイ・クラークのドキュメンタリーがリリースになる。ナレーションに起用されたのは『The Coalminer’s Daughter』でカントリーミュージックのスター、ロレッタ・リンを演じグラミーを受賞したシシー・スペイセク。

スポンジボブ・スクエアパンツもミュージカルとしてお目見えし、ケーブルチャンネルのニコロデオンが撮影、ライブで放映した。このショーは大評判となり、『ライオンキング』のミュージカルや『The LOGO Movie』などと比べられている。このミュージカルの曲として、ジョナサン・コールトンの「Bikini Bottom Day」やプレイン・ホワイト・Tの「BFF」、ジョン・レジェンドの「(I Guess)I Miss You」、ヨランダ・アダムスの「Super Sea Star Savior」やゼイ・マイト・ビー・ジャイアンツの「I’m Not a Loser」が採用されている。

世界的な大ヒット映画『プラダを着た悪魔』がブロードウェイ・ミュージカルになることがわかった。エルトン・ジョンが作曲を担当、2021年にデビューするという。2006年に公開されたオリジナルの映画は主演にメリル・ストリープ、アン・ハサウェイを配し、エミリー・ブラントの飛躍のきっかけともなった。世界興行収入3億2500万ドル、マドンナの「Vogue」やモビーの「Beautiful」、モシーン・ワーカーの「Tres Tres Chic」などを含むサウンドトラックも人気を博した。

現在アメリカで話題の映画『The Farewell』は中国系の家族が、祖母が末期の肺ガンに侵され余命少しということを知り、告知しないことを選ぶというストーリーだ。この映画はルル・ワン監督、主演はオークワフィナ。オークワフィナは本名ノラ・ラム、中国系の父と韓国系の母の間に生まれた。『オーシャンズ8』や『Crazy Rich Asians(邦題クレイジー・リッチ!)』で女優としてのキャリアを確立したが、元々はコミック・ラッパーとして活動していた。ミッキー・アヴァロンが「My Dick」という曲をリリースした際、オークワフィナは「My Vag」で返曲。当時アマチュアだった彼女のユーチューブビデオは450万ビューを数えた。その後、彼女は『Yellow Ranger』というアルバムをリリースし、有名な韓国系アメリカ人コメディアンと「Green Tea」という曲でコラボしている。

中国のデジタル大企業テンセントが世界最大手のレコード・レーベル、ユニバーサル・ミュージックの株10%を購入という動きが報じられている。この取引は約3550億円で行われ、来年テンセントにさらに10%の購入権が与えられる(現在のオーナーであるヴィヴェンディはさらに50%を売る用意があるとしている)。この取引は、多くの面において物議を醸している。テンセントは既にWeChat、テンセント・ミュージックとスポティファイ株の7.5%を所有している。中国市場は海外に対して閉じられているため、中国の30億を超える人口の支えるマーケットに参入するために中国企業との取引を余儀無くされる。しかし、中国では世界基準での音楽市場とは違うシステムの基に動いているため、ロイヤリティという意味では非常に安いか、何も払われないケースが多い。また、中国では創作に対する締め付けが厳しく、政治的な理由からの編集などが多く求められる。多くの映画人やミュージシャンが、チベット擁護を表明したために中国市場から締め出され、多くの映画が中国国内で公開前に編集されている。

近年、中国企業がハリウッド映画に多額の資金を投入しているが、その代わりに中国人俳優の起用や、中国のネガティブなイメージを使用しないこと、中国に関して問題になるような表現を使わないことなどを求めている。ここ最近でニュースになったものでは、「Top Gun 2:マーヴェリック」では、オリジナル作品でトム・クルーズが着ている革ジャンの後ろに多くの旗がついているものに対して、中国企業を満足させるために日本や台湾の旗を外すという変更をしたというものが話題になっている。

1976年のSF映画『The Man Who Fell To Earth(邦題:地球に落ちてきた男)』がCBSからTVシリーズ化される。オリジナルの映画は1963年出版のウォルター・テヴィスの本を基に作られ、デヴィッド・ボウイが主演した。

作家のニール・ゲイマン(ミュージシャン、アマンダ・パーマーの夫でトリ・アモスの娘タッシュの名付け親でもある)がこのプロジェクトに参加予定で、ボウイの息子、ダンカン・ジョーンズもこのプロジェクトに賛同しているという。

オリジナルの映画はニコラス・ローグが監督、絶賛と同時に酷評もされ、売り上げ的にもそこそこだったが、当時から強い影響力を誇った。また、ボウイの映画でのベスト・パフォーマンス、音楽にジョン・フィリップス、ミック・テイラーやツトム・ヤマシタらの音楽を起用していることからも現在は高く評価されている。

シンガーのリンダ・ロンシュタットのドキュメンタリー映画『The Sound of My Voice』が新たにお目見えする。ロンシュタットは、2012年にパーキンソン病と診断されてパフォーマンスからは引退したが、現役時代の彼女は素晴らしいスターで、一つのスタイルに囚われることなく、人にはキャリアの終わりだと言われても何にでも果敢に挑戦する人だった。彼女が最初に名を売ったのは1967年の「Different Drum 」という曲で、当時彼女はストーン・ポニーズというフォーク・ロックのグループに所属していた。1970年代には彼女は素晴らしい歌声とともに押しも押されぬ大スターだったが、批評家には自作の曲が少ないと批判されていた。実際、彼女のレコードではオールディーズやジャクソン・ブラウン、ニール・ヤング、ウォーレン・ジヴォンなど新進のアーティストの曲を多く歌っている。のちに彼女は新しいジャンルの曲に挑戦、ビッグバンドジャズを歌い、他のアーティストとのコラボレーション、伝統的なメキシコ音楽(彼女はメキシコとドイツにルーツがある)、ミュージカルナンバーなどを網羅し10回のグラミー賞に輝き、絶大な人気を誇った。リンダは結婚こそしなかったが、多くのセレブリティと浮名を流した。カリフォルニア州知事ジェリー・ブラウン、コメディアンのジム・キャリーや、一時期婚約していた映画監督のジョージ・ルーカスら。この映画は9月に公開予定。

『David Crosby: Remember My Name』というドキュメンタリー映画が封切りとなり、多くのメディアで取り上げられている。この映画では彼の音楽キャリアを、その素晴らしい高みもどん底も、ありのままに描いている。クロスビーはフォーク・ミュージシャンとしてキャリアを開始し、フォーク・ロックバンドとして成功していたバーズに参加。しかし、彼はロジャー・マックインと衝突してバンドから追い出された。バンドから出た事が、ジェファーソン・エアプレーンとのコラボレーション、そしてクロスビー・スティルス・ナッシュ・アンド・ヤングの結成へと繋がる。その間彼は大量のドラッグを摂取、自我が強く、頑固で、一緒に働くのが難しいと評価された。多くの観客が、彼が理由でCSN&Yは2度と一緒に演奏することがなかったといまだに信じている。クロスビーはフィル・コリンズ、デヴィッド・ギルモア、ルシンダ・ウィリアムズ、スナーキー・パピーのメンバーやジョン・メイヤーらとコラボレート、他にもソロ・アルバムを何枚も出している。彼はまた、レズビアンのシンガー、メリッサ・エスリッジの子供の父親だということでも有名だ。また、1962年に養子縁組で手放した息子のジェームズが彼の人生に再び現れ、音楽のコラボレーターとしても活動している。彼は他にも3人の違う女性との間に3人の子供がいる。彼はドラッグ関連で数回の逮捕歴があり、1994年には自分が痛めつけ、ダメにした肝臓の移植手術を受けている。非常に複雑で、驚くべきミュージシャン且つ男性だ。

『Bend It Like Beckham』で知られるグリンダ・チャーダ監督による青春映画『Blinded By the Light』が年末までにリリース、そのサントラが8月9日に発売される。このアルバムには2001年の未発表曲「I’ll Stand By You」と2曲のライブからの録音を含むスプリングスティーンによる曲が12曲収録されている。